あまり自分を追い込んではいけないよ

あなたが悩んでいる事は、誰でも皆、少なくとも一度は悩む事だよ。
だって第一に自分の事なんて、誰も何もわかっていないし。第二に、周囲の事だって何も見えない。わかっているようでわかっていない。それは、あなたの世代だけでなく。我々の世代だってね。何もわかっていない。第三に、将来は、不確かで、曖昧模糊としている。なにもハッキリした事はないもの。暗中模索状態だね。
自分が何をしたくて、何に向いていて、どれくらい力があるのか。それがわかっている人は少ないね。
サッカーのために生まれてきたとか、音楽のために生まれてきたなんて人は別だけど、ほとんどの人は、自分がどんな力があって、何に向いているかなんて全然わからないし、それ以前に自分が何を望んでいるかすらわかっていないよね。
じゃああなたの同世代、若くして成功したらいいかというと石川遼やタイガーウッズみたいな例もあるしね。清原みたいなのもいる。若くて成功したから将来が約束されているわけではない。
パパも若い頃は、やり直しがきくと思っていたけれど、この年になってわかったのは、それは甘い幻想だという事。やり直せることなんて限られている。
でも、絶対にやり直しができないかというとそうでもない。その時その時に全力を出し切っていればやり直しはできるとパパは信じている。
パパはね。まだまだ、自分の力が衰えたなんて思っていない。新しい分野にチャレンジしてもいる。今でも物理学の勉強は続けている。
それはね。パパが大学に入学した時、担任の教授に言われた事を守っているからさ。
担任の教授は、こう言ったんだ。十代は、多少サボってもすぐに取り返す事が出来る。でも二十代になると一日サボる取り返すのに二、三日かかる。二十代後半になると一週間はかかる。三十を過ぎたら取り返す事はできない。だからどんな時でも一行でも二行でも本を読み続けなさいと…。
同じような事を今井通子も言っていたな。今井通子がなぜ北壁に挑んだのかと聞かれた時、十代の時は、何もしなくても上達した。二十二を過ぎたら努力をすれば伸びた。二十六を過ぎたら努力を蒸してもむ横ばい状態になった。三十を過ぎたら努力をしても成長できなくなった。その時、北壁に挑戦する権利を得たと思ったのですと…。
全力を尽くしていれば道は拓けると思うんだけれど、そういったって自分の事は何もわからないし、周りの事もよく見えてこない。これはと思うものがあればいいんだけれどね。なかなか難しいよね。大学へ入ってしまってこれしかないという状態ならまだしも、なんでもいいよなんて言われたらね。
なんでもいいというのは、なんでもないという事だからね。
それで、自分の一生を決めろと言われるんだから酷だよ。周りを見たら皆は、進路を決めて邁進しているようにも見えるし、青春を謳歌しているように見える。自分だけが取り残されていくようにも思える。でも、皆、結局、同じさ。皆、うじうじぐずぐず生きている。自信のある奴なんてほとんどいない。
あなただけが特別という訳ではない。日本にいたら留学したいと思うだろうし、留学したら日本の学校へ行きたくなる。でも、身は一つだからね。何かを選んだら他は捨てなくてはならない。わかってはいるんだろうけど、切ないよね。でも、貴光はそれでもいい方だよ。少なくとも選択肢があるから。何も選べずに他人が決めた事に従わなければならない人間が沢山いるんだよ。
人生は一回しかないしね。やり直しだって簡単ではない。
選択肢は、いっぱいあると言っても選べるのは、一つきりだからね。自分が決めたこと以外の結果はわかりこないからな。
迷ったり、悩んだりするの当たり前だよ。
パパなんていまだに悩んでいるよ。違う選択肢があったんじゃあないのかって、でも、いまさらそんなこと悔やんでも何にもならないと頭を切り替える。
どうせ一度しかない人生じゃあない。いい方に解釈しなければ、過去の事で悔やんでもいいことないもの。確かに、違う人生があったかもしれないけれど、どっちがよかったかなんて考えるだけ無駄でしょ。
あなたは、気が付いていないかもしれないけれど、周りからしたらあなたは輝いて見えるんだよ。他の人にしたら誰も経験した事がない、できない事しているんだもの。率直に言って凄いよ。
ママなんてあなたが眩しくて仕方がないくらいさ。上を見たらきりがないけど下を見てもきりがない。パパだってやりたくてもできなかったんだからね。
その年で世界を相手に世界を股にかけて活躍しているんだからね。しかも、結果も出している。大したものさ。自分たちができる事、皆ができるなんて思ったに大間違いだよ。
自分たちが簡単にできる事が出来なかったり、わかる事がわからなかったりすると馬鹿に見えるかもしれないけれど
でもパパの仕事はそういう連中の持つ隠された能力、可能性を引き出す事なんだよ。
何か客観的な事と言っても結果でしかないからね。
脚光を浴びているからと言って当人が納得しているとは限らない。清宮だって甲子園に行けなかったんだから。
でも皆からすると貴光は憧れなんだよ。
何になりたいか。
パパも今だって自分の選択が最善だったなんて確信は持てない。
ママは今だって医者になりたいってこぼしている。
パパもつまらない失敗をすると果たして今の仕事は、自分に向いているのだろうかと死にたくなるくらい悩むさ。
でも今更やり直したいと思ったところで、周囲が許してはくれないし、第一、この年ではね。限界はあるさ。
自分を信じてついてきてくれる働いている人の事も考えなければならないし、バァバァやママやあなたもいる。お世話になった取引先もいる。
自分に向いているかどうか、自分にできるか、果たしてやり抜けるかなんて悩む事さえ許されない。とにかくやり抜くしかない。
辞めていった連中の辞める理由を聞いてみると腹が立つ事があるよ。
いい大人が何様って理由で辞めていく。仕事が何もできない癖に、気位ばかり高くて、後先の考えもない。家族だの、同僚だの、お客様だの投げ出して辞めていく。馬鹿だなと思うけどね。
自分には向いていないとか、上司に叱られたとか、自分の話を聞いてくれないなんて子供じみた理由でしかも他人の性にしてね。そのターゲットにされるのが上司なんだよ。卑怯だけれどね。
あなたの悩みってパパもママも今でも悩んでいるんだ。でも悩んでばかりいられないから頭を切り替えて前向きに考えるようにしていく。
悩んでばかりいられないから、頭を切り替えて前向きに考えようにしている。
ただ、パパだってママだって今でも答えが出ないからいろいろな人に会いに行って教えを請い、話を聞き、相談したり、教えを受けたり、本を読んだり。
ママの偉いところはね。あなたに相談したり、教わろうとしている事だよね。
だから、自分の進むべき道がわからないのなら、多くの友達や家族だけでなく、いろいろなところで旅をしたり、いろんな人に会いに行ったり、本を読んだりすることだよね。
特に、師と呼べる人を求める事だよね。
自分が見えてこないで、先が見えないと、同世代の仲間を見ると輝いて見えるんだよ。それは、パパだって同じ。
若くして成功している経営者とか、政治家だって活躍している人は皆年下だからね。
でも自分の得意の分野では負ける気がしない。まだまだ、これからだなって闘志がわく。
自分は亢龍ではなく、飛竜になりたいから、登り詰める事より、昇り続ける方がいいからね。
石川遼やタイガーウッズ見たって、甲子園に行ったって一流になれる時限らないよ。皆悩んでいるんだよ。
ただ、自分を見失わないで初心、初志を忘れずにひたすら前向きに一日一日を一所懸命に生きていけば必ず道は拓けるよ。
恥ずかしながらパパだっていまだにあなたと同じ悩みを抱えているんだからね。
だからこれが答えだって断言はできないな。ごめんね。でも一緒に考える事はできるよ。
ママはいつも貴方に良い事、教わったって嬉しそうに報告してくるよ。
有名になれるか、なれないかは、結果でしかないよ。有名になりたいと思ったからって有名になれるとは限らないし。意図しない事で有名になる事もいる。
ただ、有名になりたいという事を目的としたら、かえって自分の本心というか、何を自分が心から求めているのかが見えなくなってしまう気がするんだ。
名は虚だからね。影さ。実は、自分の人生にある。
何を成したかではなくて、何を為そうとしたかだよね。
有名とか、地位とか、報酬は生したことに対する結果に対するものだからね。
野球で有名になるのもサッカーで金持ちになるのも野球やサッカーで一流の仕事をしたからだからね。
野球をやってもサッカーをしても三流は、三流の評価しか得られない。まず何にしても一流を目指さなければ…。
だから、一流になるための努力をしないで名前や富や地位を求めても空しいだけだよ。
若くして有名になっても幸いするとは限らない。過去の栄光に溺れて堕落した高校球児を多く知っている。
大切なのは、その時その時に最善を尽くす事だと思うよ。努力し続けた者だけが再帰できるんだよ。

先の事は全く分からない。未来は不確かで曖昧模糊としている。確約されている事なんて何もない。
だから、予言とか、占いとか、統計、確率がはやるんじゃあないか。
今が良くても、明日どうなるかはわからない。
だから、この一瞬一瞬に自分の最善を尽くすしかない。
悩むのは当たり前だよね。お先真っ暗なんだから。
パパだって今だって悩んでいる。
でも悩んだところで道が開けないんだったら開き直って今自分が信じて歩んでいる道を邁進するしかないじゃないか。

あなたの人生はこれからだよ。
限りない可能性にたじろいでしまうかもしれないけれど、自分を信じて自分の道を進むしかないじゃあないか。
あなたはあなたにしかなれないんだからね。後悔したところで何にもならないよ。反省するのはいいけれどあまり考えすぎるのも意味ないよ。
それより、余り周囲の目を気にしないで自分を信じて貴光らしい生き方をすればいいんだよ。