昔の先輩は、奮起させるために敢えて怒らせるような事も言った。
おまえなんてむ、この程度の人間だよな。辞めちまう馬鹿野郎、こんな事もできなければとかね。
よく先輩たちがいってたよ。最近の若いのは、意地がない。怒ると思ったら何の反応もない。糠に釘だなって。
生意気でいいんだよ。生意気で。怒る時は怒る。それでいいんだよ。
先輩たちは、後輩が限界ギリギリで頑張っていたがわかるから、なまじ、優しい言葉をかけられないって。でも、今は鬱になる。
昔だって本音は同じ。だから、先輩も命がけで、真剣に後輩や部下を指導していた。ギリギリでね。厳しい先輩には、愛情を感じたものだけどね。
半沢直樹は、みていて、時々問題だなと思う。あれでは、やったらやり返せで、恨みつらみ、報復合戦になってしまう。誰も報われない。
あれが現実だとされるとね。確かに、ああいう面はあるよ。でもね。誰しも、後輩や会社に対する愛情は持っているからね。勧善懲悪では片づけられない。自分達だけが愛社精神を持っていて敵対する人間は、権力欲だけだなんて決めつけられないよね。
真剣に会社や国の事を思って戦う。それが本当のところだと思うね。
組織的な仕事をしようとした場合、作業の枠組みが基礎となる。枠組みができないと組織的な仕事はできない。
枠組みは、人、物、金、時間の枠組みがある。人の枠組みは、組織である。物は、材料の枠組み、金は予算の枠組み、時間は、日程、工数の枠組みである。
一般に枠組みとは、日程を指す場合が多い。そして、人、物、金、時間を集約して結び付けているのが作業である。つまり、作業は、人、物、金、時間の要素によって構成されている。
仕事を構成する作業には、幅がある。作業には、始まりと終わりがある。まず枠組みを作る場合、起点と終点を明確にする。どの様にして明確にするかと言うと何らかのイベント(基本は会合)を設定する。
まず、何らかのミッション(仕事、使命)を与えられたら(具体的には、責任者として指名されたら)、速やかに事務方を指名し、その者に指示する。
事務方に指名されたものは、先ず、最終ゴールの目処を聞く。予算であれば、来期の方針確認日が一つの目安となる。
方針確認を設定するのは、この作業場の都合が大きい。
来期の起点であると同時に、準備作業の終点となる。
ゴールの目安が着いたら、指示された日を起点とし、ゴールの日を終点として日程規模を割り出す。今を起点とした場合、十月頭がゴールとなると期間は、二か月となる。本来、ワンステージ、三か月。作業の最小単位は、三か月とするのが一般だから一ヵ月足りない事になる。
一ヵ月遅れを前提として大枠を組むことになる。
なぜ、ワンステージ、三か月かと言うと、大体、一般に仕事の段取りは、三つの段階を前提とする場合が多いからである。
形としては、第一段階で基本計画、第二段階で、実施計画を立て、第三段階で、実施(準備作業)と言うのが基本計。
他の形としては、前処理、実施、後処理。の三段階。序盤、中盤、終盤の三段階、下地作り、骨格作り(粗)、仕上げなどの三段階。などがあるがいずれにしても三段階を基本とする。
二段階だとどうしても前後が詰まる傾向が出るので、枠組みの中で調節する必要が出てくる。
起点と終点が決まったら、枠組みの単位を想定する。つまり、日程の大枠を作る。日程の単位は、日、週、一ヵ月、三か月、半年、一年、二年、三年。
基本的に一か月を単位として枠組みを作る。
枠組みの要は、定例会やイベントなどによって設定する。月を単位とした場合、月末だと一回は、使えない。つまり三か月でも、二回しか取れない。
イベントが二回となると期間は一回になる。
だから、会議の前後に簡単な打ち合わせと補助的なイベントを設定して幅(期間)を確保するようにする。この点は、責任者は、十分配慮して関係部門との調整をして、事務方をバックアップする。これが基本。
そして、基本三か月をワンステージとして計算する。そうしないと期間がとれない。
その上で、正式にいつスタートを切るかを決める。それは、メンバーが確定している場合は、メンバー全員、メンバーが確定していない場合は、中心となるメンバーを集めて正式に仕事の開始を宣言することを意味する。俗に、ガイダンス、顔合わせ、キックオフなどを指すが、ガイダンスやキックオフには準備が必要だから、顔合わせ程度のものを想定する。なぜなら、余り手数をかけずに速やかに正式に仕事に着手しなければならないからである。
今回の予算は、かなりタイトだという事を上の人間は自覚しておく必要がある。なぜならば、それは、担当ベースの責任ではなく。マネージメントベースの責任であるから。
ある程度、手抜きをせざるを得ないと思われる。
今回は、完成度をもとめず、とりあえず、中核となる部分を起動させればいいという程度で考えるのが妥当と自分は、思っている。マネージャーは、組織的な事を自覚し、謙虚に基本を学ぶように。
どこを踏襲し、どこを自分達で変えるか。
兎に角ポイントを絞って無理をせず、出来不出来を考えず、自室的に次の時代を担う者たちで組織を動かす事を覚える事である。
何か、仕事を任せられた時はね。最初から相手に併せようとしては駄目だよ。第一に、併せようと思っても併せられないからね。
先ず、とりあえず自分でやってみる事だな。自分でやると言っても難しく考える事はない。できる事からやる。相手の言っている事を整理してみるとか。自分の考えを書き出してみるとかね。とりあえず、誰かに相談してみるとかね。昔は、大概、相談に乗ってくれる先輩とかがいたんだけどね。
とにかく何でも自分ですぐにやってみる。
自分の好きにしろと言われても。どうしていいかわからないのが本音だから。それをそのままぶつけてもいい。
好きにしろと言われても、簡単にできるものではない。
解らないからと言って相手に最初から合わせようとすると自分がなくなる。
妙に最初から合わせようとすると自分で組み立てられなくなるんだ。
だから、自分の考えを紙に書いてみるとかね。一行でも、三行でもいいんだ。
何もわかってないんだから。何もわからないとか、一人じゃできないと気が付くだけでも御の字。肩の力抜いてな。それから、確認をしたり、教わったりすればいい。
自分が何がわかっていて、何がわかっていないのか。それがわかればいいんだよ。それがわかればとっかかりができる。これはなるべく早くやる。
短ければ短い方がいい。あんまり頭を使わず、とにかくやってみる。
時間をかけるとかえってわからなくなるからな。
僕らは、口のきき方、言葉使い一つ取って随分注意して教えられたんだけど、今は、難しいね。でも言葉遣いは大切なんだよ。
言葉遣い一つで、後の仕事の仕方が変わってくるからね。
例えば、即答できなくて、つい時間稼ぎに、否定形や疑問形から入ると結構、面倒くさい事になるし、後の仕事に尾を引く事がある。
例えば、できなませんとか、いいえと言った否定形ね。それから、でもとか、しかしと言った疑問符。首をかしげるのもね。
とっさに出てしまう事あるけれど、後で否定できなくなったり、意味もなく逆らっている様になったりもする。
一度、考えさせてくださいとか、できませんと言うと後を引く事があるし、仕事の段取りにも影響が出てくる。相手の心証も悪くなるしね。
僕らは、考えさせてくれなんて言われるととっさに辞める気なんてかんがえるほど。親父たちからもあいつ大丈夫かとよく聞かれた。
売り言葉に買い言葉なんてこともあるしね。
とりあえず、ハイと言っ後で疑問点を聞くのが正当だと教えられたんだけどね。我々の後輩あたりからひねくれている奴が出てきて。何かと混ぜっかえす。傍で聞いてて素直に返せはいいのにと思うのだけで、何か一言、言わないと気が済まないし、簡単にハイというのは沽券にかかわると思っている節がある。何かというと口答えしたり、相手の言っている事と違う事、言ったり。
何かというと違う。どこが違うのと聞くとどっか違うって。そりゃそうでしょ、百%一致する方がおかしい。
確かに、何度も言うように一回聞いただけで相手の言っている事を理解するのは、難しいし、即答を求められて困る事があるけれど、むやみに否定したり、混ぜっ返す事はない。最初はハイと言っておけばいいと教えられた。どうせやっているうちにわかってくるから、最初から否定したり、頭から拒否する事はない。無理な事は無理なのだからと言われた。
でも、ハイとから返事しても駄目だよと言われ。難しいなと感じた事はあるよ。場数を踏んで覚えるんだな。ただ、言葉遣いは甘く考えないように。トラブルの多くは、言葉遣いが原因だからね。
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