IT投資の件につきまして、かいつまんでご説明したいと思います。
結果が出いないのでお恥ずかしいですが、なぜ、若手の人材を入れてITを強化する投資に踏み切ったかという点をいかに要約しておきたいと思います。
多くの経営者は、ビックデータとか、IT、AI、ディープランニング等の言葉に踊らされて足下の変化に気がついていません。
革命的ともいえる変化がここ数年で、顕在化してきています。
それは、40代以前と30代以降との間に深い断絶をもたらしているほどです。
それを象徴しているのがオンプレミス型からクラウド型へと急速に変換いることにあります。つまり、従前のシステムに対する考え方が通用しないほどの変化が起こっていると言えると思います。
この点を経営者が理解しておかないと若者の活用を間違える事になると考えます。また、有為な人材を潰す事になりかねません。
革命的な変化とはどのような事か言いますと、
第一に、社会構造や組織構造が、ツリー構造からネットワーク構造へと変質してきている点。第二に、自己完結型から相互依存型へと変化しつつある点。第三に、クローズされた形式からオーブンな形式へと急速に移行しつつあるという事です。
この変化は、旧来のビジネスモデルを駆逐するだけの威力があると考えます。
根本的な課題は、これまで、組織に併せてシステムが構築されてきたのが、これからは、システムに併せて組織を構築する時代になったということを意味すると思います。
それに伴って人事管理も集団的管理から、個別管理への時代へと変化していく事になる考えます。
この様な変化の前兆は、2000年頃に現れ、ここ数年で加速してきたと考えます。どのような事が前提となったかといいますと、第一に、メモリ数の飛躍的な拡大によってメモリの制約から解放されたという点。第二に、ハードウェアの飛躍的発展によって、ソフトの比重が高くなってきた点です。
私もやむなく、先年、パイソンやRをマスターしましたが、その過程で、気が付いたのは、もう発想そのものが変わってきている事です。
合わせてデータベースに関係する技術の深化です。
手続きを重視したプログラムからデータベースを核としてプログラムへと変化してきている。データベースの技術は、SQLといった従前のプログラム言語とは異質のプログラム言語の活用が鍵を握っています。
今後、ITを深化させるためには、バイソンやR、SQL等を使いこなせる人材が必要となると考えます。
反面、エクセルの進歩も見落としてはならないと思います。エクセルの急速な進化は、データドリブンなマーケィング、人事管理を急速に普及させる可能性がある。エクセルの持つ凄さは、その汎用性にあり、末端の一般従業員でも、高度な分析を可視化し、使いこなせるようにする事にあります。データドリブンな営業や人事は、これまで、一部の専門家や分析家に頼らなければならなかったのが、普通に、担当者レベルまで普及する事が可能になったことを意味します。
要するに、高度な分析技術が特殊な技術でなくなったことをも意味します。この変化に、経営層がついていけていないのが実情です。そこで、思い切って若手に実権を渡していく覚悟が必要だと実感している次第です。
メモリーやハードウェアの進化は、システム上の制約から実務を解放しました。これからの問題点は、システムの問題というより、数学の問題へと変質させたのです。
その数学も、根本的な変化が起こっていると考えられます。近年、話題になったのは、ベイズ統計であるが、、そういう表面的な事以上に、統計に対する考え方が機械学習を梃として変質してきている事を見落とすべきではありません。
確かに、ベイズの普及は、画期的な出来事でありますが、それ以上に革命的なのは、数学が観念的な学問からより実用的な学問へと変質した事です。
自動車を運転する際、物理学を学んでいなくとも運転できるように、データ分析が数学の原理を知らなくても手軽にできるようになってきたという点です。
数表から画像、文字から動画へと変遷している。
確かに、若い世代には、四則の演算、割り算のできない大学生などが話題になった事もある。しかし、反面において、ゲームや動画、メール、ライン、ユーチューブなんかは、器用に使いこなす。
割り算、掛け算も満足に扱えない人間に、高度な分析技術を求めても無駄。良いか、悪いかが、問題なのではなくて、発想自体、思考の土台が変質してきたのである。計算ではなく、操作中心にし、可視化を進める事が肝要なのです。
AIは、人を排除すると言われるがそれは一面的な見方で、むしろ、新しい有為な人材を必要とする時代が来ています。
以上の点を鑑みて人的投資に踏み切った次第です。人的投資は、設備投資と違い、際立った支出があるわけではありません。反面、生産計画のような目に見える効果を事前に予測する事は難しい。ただ、従業員の高齢化もあり、世代交代を踏まえても思い切った投資が可能です。それは、経営者の覚悟にしだいで決まると私は思います。
新しい時代は、若者を信じて委ねる以外にありません。要するに、経営の中枢部分にメスを入れない限り、実効力は期待できないと覚悟しています。
Copyright(C) 2020.10.30 Keiichirou Koyano