経済の現状

吉川よ


吉川よ。達者でいるか。

吉川よ。
俺は、全身全霊でお前との約束を果たそうと思ってきたし、思っている。
だから手紙を送る。

先月、寺西から電話をもらった。
去年の今頃、大野から、寺西がステージ4の大腸癌だと聞かされた。それで何とか連絡を思っているうちにコロナ騒ぎになり、バタバタしているうちに時がたち。今年の八月に何とか住所を探しあててハガキを書いた。
でも、長い間、返事がなかった。

それが突然電話があってな。
少し前に下血してさって。今日退院してきたところだというのよ。そして、次に、下血したら、責任持てないと医者に言われたそうだ。連絡したい人がいたら連絡しておけと言われたそうだ。
陽子に促されて次の日に会いに行くと電話したら、案の定、「来るな」と…。会いたいと言ったら会いたくねえよと。それにもうこうやっているのも辛いというんだ。それで諦めた。おふくろも自分のみじめな姿見られたくないのよと。
あれは、別れの電話だったんだな。

俺は、この国を守りたい。この国の役に少しでも役に立ちたい。
その思いは今も変わらない。
お前は、今でも、俺の仲間さ。
いつも、俺はお前の事を想いながら励んできた。

コロナでこれから国難を迎える。
息子も、海外からこの国の凋落ぶりを見て嘆いている。
若者だよ。かつて俺たちが青臭かったように。未熟だったように。
その若者に実権を渡さなければ。
この期に及んで、平均年齢が七十超える内閣なんて。それが問題なんじゃないか。
それがこの国を深刻にしているんだ。
俺は、全身全霊で若者たちにこの国を継承していく覚悟だ。


       

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