経済の現状

思い出し笑い

死に神

夜一人。
子供の頃の君の事を思い出し笑う。
無邪気に何の恐れもなく、遊び戯れる君。
みずみずしい命が迸り出る。
満身で生きる喜びを現し、力いっぱい走り回る君。

そんな君を思い出しながら、私は、自分の人生と向き合う。
向き合わされる。
夜一人、暗闇の中で・・・・。

暗闇の底で死に神がじっとこっちを見ている。
死に神を恐れる必要はない。

死に神は怖くない。

死に神は不吉だと忌み嫌われるけれど、死に神は、悪ではない。

死に神は怖くない。

むしろ死に神は、優しい。静粛で、純粋で、穏やかである。
死に神が冷酷非情だと誰がしたのだろう。
死に神は温かい。
人は切羽詰まるといろいろな事を考える。
その時、死に神の目をじっと見つめると心が落ち着く。
死に神は、微笑んでいる。

死に神は、人を殺したりはしない。
ただ、迎えに来るだけだ。
ただ、じっとその人の生き様を見守り、そして、最後には導いてくれる。
だから、昔の人は迎えが来たというのだ。
死に神を恐れるのは、自分の生に自信を失っているからである。
死の底に生がある。静寂がある。

涅槃寂静。

死に神を恐れてばかりいたところで意味がない。
死は、ただ受け入れるしかない。
しかし、死を見つめる事は生を求める事である。
死を恐れるくらいなら、死を見つめ、生きる事を思え。
だから死に神を恐れる事はない。
死に神は生きる事を教えてくれるのだから・・・。

夜一人凍り付くような寂しさに包まれたら。
ただじっと死に神と対峙する。
暗闇の向こうを見透すように・・・。

そして、楽しかった頃の思い出で心を温め忍び笑う。
死神も無邪気に忍び笑う。


       

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