経済の現状

四月一日 カナダへ旅発つ息子を思い

旅立つ君に



過ぎ去ってしまえば時の立つのは早いもの。
君と過ごした日々の事を思えば涙が滲む。
でも、涙を拭うのは止めよう。旅立つ君の未来の為に・・・。
涙は君に見せられない。
去りゆく君の背をみて、こんなに大きくなったかと声を掛けたくなる。
いろいろと教えてやりたかったけれど、いざとなると何も教えられなかった。
かえって君からいろいろと学ばせてもらった事ばかり。
もう何も言う事はない。これからは、教える事も出来なくなる。
電話で声を聞く事はできても、身体に触れる事も、抱きしめる事も出来なくなる。
今の君にとってこの国は狭くなってしまったのかもしれないな。
後ろを振り返らず、前に進むがいいさ。
まだ見ぬ夢に向かって。
迷ったら駄目だよ。
君には君の人生がある。

小学校の入学式に桜吹雪の中を駆け巡る君の姿が忘れられない。
京都の桜、島原の桜、富士の桜、東京の桜、飛行場の桜、故郷の桜、やっぱり君には桜の情景がよく似合う。

過去。現在。未来。
パパと呼びかける君の声にハッとして振り返ることがある。
人混みに、街角で、窓の外に君の面影を追う。
そこに、君の姿は今はなく。
虚しく風が舞うだけ・・・。

忘れないで欲しい。
何時でも、何処でも、僕は君を見守っているから。
癒やされぬ苦しみに耐えられなくなった時は、何時でもかえっておいで、ここは、君が生まれた国なのだから、故郷なのだから、家族なのだから。
プラットホームで何時までも去りゆく電車を追いかけた友達がいる処なのだからね。

君が生まれる前は、君がいる事が想像も出来なかったけれど・・・。
昨日まではいるのが当たり前だった君がいない生活なんて、今でも想像できなやしない。
なぜ、これ程君のいた部屋が広く感じるのだろう。

君が何時でも帰ってこれるように、君の国を、故郷を、家を守ってみせる。
それが俺の覚悟、責務、夢。

泣くまい。泣くまい。
抑えられない思いを言葉にしても虚しくなるだけだから、
今は、
笑って、またなと別れよう。



       

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