27、私的所有権と差別



平等を定義し、理解するのは難しい。 だとしたら、平等の対極、裏にある差別について考えた方が平等を理解する為の近道かもしれない。

例えば、性差別にせよ、人種差別にしろ、根本にあるのは、社会的な、経済的な制約である。その制約も生産的手段の私的所有権が確立されると完全ではないがある程度は緩和される。

仮に、差別されている状態が平等ではない状態であるとしよう。
この様な差別的状況を作り出しているのは、主として経済的事象だと言える。
むろん、政治的社会的要素もある。
しかし、決定的というのは経済的要素であろう。

そう言った差別的要素の根本は、生産手段の私的所有権を制限されたり、制約を受けている事であろう。
つまり、差別とは、経済的自立を妨げる事でより実体化する。
そして、それは貧困という形で表面化する。

女性差別の本質は、経済的に自立できないような環境に女性を置く事にある。
それが差別や支配の実体である。

逆に言うと差別をなくすためには、経済的自立が不可欠な要素となる。

女性も経済的に自立することが可能だから、差別を解消するために働けるようになる。
経済的な自立が保証されていなければ、結局、男性に従属することを強いられる。
まず、経済的に自立できるという事が前提となるのである。
経済的自立を保障するのが生産手段の私的所有権である。
近年、女性の地位の向上が見られるのも私的所有権が保障されるようになったからである。

差別を正当化しようとしたら、経済的に自立できないようにすればいいのである。
つまり、私的所有権を制約すれば良い。
これは国家の独立も同じである。

生産手段を維持できなければ、国家の独立も危うくなる。





       

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