51、格差の拡大こそが問題


経済の仕組みの本質を資源の生産、生産された財の分配、分配された財の消費だとしたら、所得の絶対額ではなく、格差が問題だというのが理解できる。
格差の拡大は、生活困窮者を増やし、貧困層を拡大する一方で富裕層を厚くし、不労所得者を増やす。

格差の拡大は、人民を分裂させ、階層を形成する。

格差が更に拡大すると貧困層と富裕層に二極に分裂していくことになる。

所得が一定の幅、範囲に収まっていれば、それでも、生きていく為に最低必要な資源を満遍なく分配する働きは維持されるが、極端に格差が広がると生きていく為に必要な資源を市場から調達する事が困難な層が生じ、拡大する。
その一方で、余剰な所得を得る層も拡大する。余剰な所得を得る層は、余剰な資金を貯蓄する。
一方で資金不足な層ともう一方で余剰な資金が貯め込まれる結果、消費に回されるお金が抑制され消費が減退する。

そして、資金の循環に偏りが生じ、市場に必要な資金が行き渡らなくなる。

資金は、循環運動によって機能している。
資金の循環が円滑に機能しなくなると経済は成り立たなくなる。
資金は、社会全体に行き渡る事で正常に機能する。なぜなら、資金は分配の手段だからである。
資金が市場に満遍なく行き渡らなかったり、循環が停滞すれば、市場は本来の機能を果たせなくなる。
資金が市場に偏って存在すると市場の緊張は保てなくなる。
資金の流れを阻害するのは市場の偏りである。市場の偏りは、格差の拡大によって生じる。故に、格差の拡大は、経済の阻害要因である。
収入の絶対額は、経済の規模を相対的に表している。故に、全体が相対的に均衡していれば、絶対額の差そのものは阻害要因にはならない。

景気の循環を作り出しているのは、生産の周期、消費の周期、収入の周期、支出の周期である。生産の周期、消費の周期、収入の周期、支出の周期には、ディリー、ウィークリー、マンスリー、イァリー、そして、一生といったものがある。そして、この周期の長さが財の働きの本となる。

例えば、短い周期の財が、フローを長期周期の財がストックの本となっている。

市場の状態、市場が飽和状態か、飢餓状態かや。市場の発展段階、すなわち、草創期、成長期、成熟期、衰退期かまた、市場の拡大しているか、縮小しているかといった要素が加わり。
その上に財が消耗財か耐久財かといった財の特性が関わって個々の物価の方向性が定まる。

この様な、物価の構造は、電力消費の周期の構成によくにている。原子力発電や水力発電は、ベース電源として使われる。
短期周期で、消耗品、必需品、俗に言うコモディティ商品は、経済全体が縮小に向かっている状況では、価格は相対的に上昇傾向になる。
物価の変動は基本的には需給の力関係によって形成される。生産量と消費量によって需給の力関係は形作られる。
そして、需給関係は、収入と支出の無関係に反映される。

所得は差ではなく、比率が重要となるのである。故に、個々の部分の金額ではなく、格差の相対的な大きさが問題なのである。

分業によって現在の経済は形成された。それは、生産と消費、労働と生産財が分化されたことを意味している。
社会が分業化される以前は、生産と消費、労働と生産財は一体な事であった。
それが分業によって生産と消費、労働と成果物である生産財が分化されたことで、社会的分配が重要な働きを持つことになる。そして、分配のための手段として貨幣が発達した。

所得の分散は、統計として表現できる。
統計とは集合の形を考える事である。
集合は一律一様ではない。
集合の形が問題となるから、最大値と最小値の幅。所得の下限と上限の幅。生活費の下限。
平均値。中央。最頻値といった代表値によって形を推測できる。
又、山の形や数。尖度。
分散、幅等が重要となる。そして、範囲が鍵を握るのである。

所得の零から下限までを一とした場合上限は何倍になるのか。
また人として生きていく為に必要な生活費の下限に対して所得の下限はどこに位置しているか。
それが格差の限界を制約している。
所得の下限と上限の幅が拡大すると最低限の生活費すら不足する層が拡大する。
それは、所得の基本的働きは分配だからである。
生産財の分配状態を表すのは、比率だからである。






       

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