76、統計とは(統計を考える)


時系列分析の特徴


時系列分析は、最も用いられる統計の一つである。
時系列とは、時間軸を含んだ統計や確率である。
時系列は、変化の様相を表している。

時間は変化の単位である。時系列分析は、変化を分析する事である。必然的に時間の単位の定義が重要となる。

時系列分析とは、変化を予測したり、比較する事によって成り立っている。
時系列分析で重要となるのは、単位、特に時間の単位の取り方である。

時間の単位には、一定の間隔を単位にする考え方と、カレンダーに沿った考え方がある。
自然現象の時系列分析の場合は、時間の感覚による定義が重視され、経済現象では、カレンダーに沿った単位が重視される傾向がある。この点を注意しないと経済データの持つ固有な歪みや癖を見落としてしまう。

時間の単位をどの様に設定するかは、簡単そうで難しい。
なぜならば、時間は目に不可視、見えないものだからである。目に見えない対象をどの様に刻むのか。
時間には定刻という言葉がある。しかし、時間を一定の間隔で刻むのは難しい。
しかも時間の単位には、秒、分、時間、午前、午後、一日、一か月、一年、一生というようにいくつもあり、しかも、一分は、六十秒、一時間は、六十分、一日は、二十四時間、一週間は七日と六十進法、十二進法、七進法と位取りも一定していない。また、一月も三十日、三十一日、二十九日と一定しておらず。うるう年には、二月は、二十九日から二十八日に減らされる。
この様に時間の単位をカレンダーに依存していると均質なデータを集めるのが難しい。

カレンダーに依拠した時間の決め方以外に、始点を定め、一定間隔の時間を単位とする考え方。何らかの運動や行為にかかる時間を単位とする考え方、時間の長さに関わらず、一定の作業などを単位にする等、時間の単位は、任意に決められる。

古くは、天文学に基づいて単位は決められてきた。科学の発展に伴って振り子の周期やゼンマイ、水晶発振、音叉等によって決められるようになってきた。

経済データの単位の多くは、一月か一年である。
単位期間の範囲内で規則的な変化をするかどうかが、統計を分析するうえで重要な鍵を握っている。
この点も統計を分析する時、十分に留意する必要がある。

経済データを分析する際には、長期、中期、短期と時間を区切って変化の形を実相を見る。
例えば、単年、三年、五年、十年、超長期と区切って。
単年でデータの構造、要素間の関係を明らかにし、三年で、その時点でのベクトルを明らかにし、五年で動向や傾向を掴み、十年で節目や分岐点、その時点その時点でのイベント、政策の影響を分析する。超長期で時代の傾向を掴むというようにである。
三年でベクトルを明らかにするためには、二年目を現時点として中心にし、一年目を前年実績、三年目を予測、ないし、予定とする。
また、節目や分岐点を見極めて変化の根底にある法則を導き出す事も有意義である。

物理学は、一般に、法則を求める事を目的としている。運動は変化であり、時間の関数である。故に、物理学が扱うのも、基本的に時系列データである。

一般に、経済学的な時系列分析では、長期的な変化を対象としているが、運動の法則を明らかにするためには、近傍的変化を対象とする必要がある。
つまり任意の局面における位相を知ることが法則を解明する手掛かりとなる。

変化は、位置を二回微分する事で求められるとされる。一回微分する事で速度が導き出され、二回微分する事で加速度、即ち、力が導き出される。速度と加速度は、働きを意味する。

統計や確率は、何らかの全体と部分から成り立っている。故に、全体を何らかの形で設定しなければならない。

時系列分析は、推測統計の一種だと言える。
推計統計は、母集団の構成や偏り、歪み、重み、関係、働きなどを分析するのに対して時系列分析は、変化の様相を重視する。変化の様相とは、増減、拡大、縮小、成長、衰退といった変化が表す様相から推測できる事である。
また、変化を分析する事によって因果関係や相関関係等の全体と部分、部分と部分の関係を明らかにすることも目的の一つとされる。
その為に、時系列分析は、他の推測統計と違い、主として変化の形を線分として捉えようとする傾向がある。
また、変化を何らかの方程式に置き換える事を目的の一つとしている。
その一例が回帰分析であり、多変量解析である。
平均や分散も時系列に沿った形で考察される。
ただし、変化の形は、単純ではなく、一様でもない、一定の形にはまるものは少ない。それ故に、時系列分析では変化の傾向をとらえる事を重視する。

また、時系列分析は、固有の傾向がある。
例えば、傾向線、季節変動等である。

時系列分析で重要となるのは、相関関係である。
また時系列分析では、任意の時点を選んで指数化する事も有効である。

時系列には、連続時間系列と離散時間系列とがある。
時系列データの多くは、一般に離散数の数列として表される。
離散時系列には、時間の単位が等間隔でなされているものと不等間隔なものとがある。
一般に統計に用いられるのは、等間隔な離散時間系列を言う。



ベイズ統計
確率と統計
確率と統計(教育)



参照
「道具としてのベイズ統計」 涌井良幸著 日本実業出版


       

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